私が今回ご紹介させていただきたいのは、医歯薬出版の「基礎運動学」です。この本との出会いは、日本物療医学専門学院(のちに国際カイロプラクティック カレッジ、現在はインターナショナル カイロプラクティック カレッジ)に入学し、教材として購入したことでした。運命的な出会い、そんな特別なものではありませんでした。書名の通り運動学に関する本ですが、「生体の構造と機能」という章では、細胞や組織の説明から始まり、呼吸や循環など基本的な解剖学や生理学が記され、非常に勉強しやすかったのを覚えています。

 卒業後、そのまま学校に教員としてお世話になることになり、そうなった頃には運動学のテキストが「カイロプラクティック テクニック総覧」や「カパンディの関節の生理学(原題「カパンジー機能解剖学」)」といった本に変更になっていましたが、授業のネタ本として当時全教員が手に取り授業の準備をしていました。

 開業し学校と離れてから、各地で勉強会をさせていただくようになりましたが、今なおその資料作りに活用していますし、受講生の皆さんから「先生、何かオススメの本はありませんか?」と尋ねられたときには、何をおいても真っ先にこの本を推薦しています。

 私が持っているのは第3版で少々古いですが、今でも気づきやヒントを与えてくれる、とてもありがたい本です。皆さんも是非一度、手に取ってご覧になってみてください。絶対に何らかの気づきやヒントを与えてくれると思います。徒手療法を行う方には必ず持っていただきたい一冊です。

基礎運動学 第6版

著:中村隆一、齋藤宏、長崎浩
版型:B5
総頁数:592頁
発行年月:2003年12月
ISBN:978-4-263-21153-3
出版社:医歯薬出版株式会社


定価7,480円(6,800円+税)

辻本 善光
辻本カイロプラクティックオフィス(和歌山市)
20年以上にわたり、大阪のカイロプラクティック専門学校で教育に従事。学校での教育を離れた現在も、これまでの教育経験を活かし、日々の臨床で忘れがちな「基礎」の重要性について各地で勉強会を開催し、「教育」と「臨床」の橋渡しを中心に活動している。

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