私がカイロプラクティックの勉強を始めた、今から17年ほど前の頃は、筋膜というものの情報は今ほど出回っていなかったんじゃないかと記憶しています。今では当たり前のように我々施術者の会話に出てきますし、関連書籍も増え、我々施術者の側ではない一般のクライアントさんまでもが、筋膜という言葉を口にするほどメジャーな言葉になっています。

 今回、我々のような若造にもよく付き合ってくれるS氏、ラルゴの社長さんもやられているらしいんですが、その方から「ラルゴの『この一冊』のコーナーに書け」と半ば強制的に言われ、私だけじゃなかったし断れる相手でもなし、好きな本のことだし、「よぉーし一丁、『アナトミートレイン』のことを書いてみよう」と思い立ち、不慣れな原稿を書くことになりました。

 この本は私が初めて筋膜、筋筋膜のつながりを知り、学ぶきっかけになった本で、今の私の施術スタイルを築いてくれた、重要なマスターピースと言えるものです。一人でも多くの徒手療法を生業とされる方々に、ぜひとも読んでもらいたいと思い書かせていただきます。

 カイロプラクティックの学校を卒業したての頃、当時の私のスキル、知識、レベルでは、腰が痛いなら腰へ、肩や首が痛いならその部位へ、骨盤帯の変位があればアジャストメントと、主訴の部位の近辺を処置するという非常に視野の狭いものでした。そんな中、いろいろな勉強会やセミナーなどに参加すると、筋膜のことを盛んに話している人がいたり、またデモなどで講師の先生が当たり前のように、主訴とはかけ離れた部位に治療ポイントを見出し、そこにアプローチすると主訴が改善するという、なんとも不思議な光景を多く目にすることがありました。  

 当時は、筋膜って筋肉を包んでいるただの袋でしょ?? なんでそうなるの??・・・なぜそこがつながっているの?? などなど、疑問だらけでした。そんなとき、セミナー中に講師の先生が紹介されたのが、この「アナトミートレイン」でした。

 すぐさま購入し読み始めると、これまで私が全く知らなかった概念や情報、そして様々な筋膜のつながりが網羅されていて、セミナーなどで「なぜ、そこを治療するの???」と、疑問に思っていたことに対する答えがほとんど書いてありました。  

 様々な筋筋膜のつながりを知ることによって、主訴の部位と全く違うところに治療ポイントがあっても全然不思議じゃない、逆に全く違うところにこそポイントがあるんじゃないのか、という診かたが腑に落ちりようになり、より大きな範囲でクライアントさんの体をチェックすることができるようになりました。様々な気づきを与えてくれた、私にとって非常に重要なかけがえのない一冊です。

アナトミートレイン第3版

著:トーマス・W・マイヤース
訳:坂場英行/石井慎一郎
版型:A4
総頁数:352頁
発行年月:2016年5月
ISBN:978-4-260-02496-9
出版社:医学書院


定価7,150円(本体6,500円+税)

門川 英樹

宮崎県都城市で【なごみカイロ整体院】開設
所属団体
九州カイロプラクティック同友会
日本カイロプラクティック師協会(JSC)
一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)


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